「明日さぁ、もし世界が終わったらどうする?」 退屈すぎたといえば、それまで。 獄寺はダイナマイトの手入れに夢中で、テレビはくだらな過ぎて笑えないし、本を読むなんてがらじゃない。 せめて獄寺に構ってもらおうと、そんなくだらない質問をした。 (無視されるかも) 破られなかった沈黙に、そんな諦めをもったとき、ふと獄寺が振り向く。 「決まってんだろ、最後まで十代目をお守りするんだよ」 どうやら無視をしたわけではなく、考えていたらしい。 退屈タイムは取りあえずおわったけれど、これはこれで面白くない。 (嘘でも俺といるっていえばいいのに) まあ、そんな嘘をいえないところが可愛いんだけど。と、思うことにして。 これ以上ツナ自慢を聞いても面白くないので、やっぱりフテ寝でもしようと思ったとき、獄寺の言葉が続いた。 「気が向いたら、お前にも十代目の小指ぐらい守らせてやってもいい」 それってどういう意味って聞こうと思って振り向いて、思ったよりも近いところにある獄寺の体に驚く。 そして驚いている間に、唇が額に落ちてきた。 「くだらねぇ質問してんじゃねーよ、バーカ。 頭わりぃな」 そういって獄寺はまたダイナマイトに向かう。しばらく呆けてから、ようやくからかわれたらしいと気付いた。
(からかわれてても、いい)
小指でも肩甲骨でもいい。 世界が最後のとき、獄寺がそばにいてくれるのなら。
触れられた額があつい。 獄寺の顔も、少し赤い。
こんなささいな冗談ですら。 嘘がつけないお前が好き。
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