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言葉は無かった。必要なかったのだと思う。
山本は後ろ手で部屋の鍵を閉めて、熱っぽく俺を呼ぶ。 「ん」 それにキスで応えて、強く、強く山本を抱きしめた。 「獄寺」 それ以外の言葉など忘れてしまったように、ただ俺の名前を繰り返す山本。そのたびに、俺は溶けてゆく。 「って、山本!?」 お姫様だっこ。と山本ははにかんで見せるが、はにかんでる場合じゃない。 だって、それは一度は捨てたはずの幸せなのに。 「獄寺」 それに答える前に、また口付けが落ちてくる。 「ん……んぁ」 一度も唇が離れることなく、山本はそのままベッドに歩み寄り、その上へ優しく俺を降ろす。 「ま、まて、山本!」 いま着ているドレスは、もちろん俺のものではない。十代目が借りてきてくださったものなのだ。 「ちょ、山本! ドレス借りもんだから、汚すと十代目にしめしがつかねぇんだって……んっ!」 言われてみれば確かに。という気もするが、十代目は俺にくださるとは一言も言っていない。 「ああ、もういいから。もしものときは、俺が責任とるから」 どこで覚えてきたのか、鮮やかな手つきで背中のファスナーを外しながら、俺の肌をたどる。 「だから獄寺は、俺の責任とって」 どんだけ獄寺に触ってないと思ってんの? なんて耳元で囁くからいけない。 「じゃあ、ついでに俺の責任も取れ」 そういうと、山本は口角を持ち上げて幸せそうな笑みを浮かべた。
「ふぁ、ん……」 ドレスは、それはもう無残な姿になっていた。裾はギリギリまでめくれあがり、上は脱がされてな 初夜だというなら初夜らしく、もっと初々しくしやがれ! といってやりたいのに、快感に流されて言葉にならない。 そういって、俺の薬指に唇を落とす。 「……俺も……」 お前だけだ。と、熱に浮かされた振りをして言おうと思って、言葉が詰まった。 お前だけ、なんて。どの口がいまさらいうのか。 「獄寺は」 言いかけて黙り込んでしまった俺の額にキスをして、山本が笑う。 「嘘が下手だから」 額の次は、頬。そして唇に、何度も何度もキスをする。 「なのに、獄寺にそんな嘘言わせた自分が情けなくて、八つ当たりした。ゴメン」 謝るべきは、俺なのに。 そういう山本の顔が真っ赤で、らしくなくって、わらけてしまった。 「なに、お前下の名前で呼んで欲しかったのか?」 鼻をすすりながら、からかうように言い放つ。 「いや……、別に何でもいいかとは思ってたんだけどさ」 嫌ならいいよ、別に。とか照れ隠ししても可愛くねーよ。馬鹿。 俺の肩に顔を埋めてしまった山本の頭を叩く。 一言、耳元で名前を呼んでやれば山本は弾かれたように顔を上げた。 名前を呼ぼうとした山本の口を押さえて、悪戯に笑う。 「名前で呼べよ、ばーか」 もう二度と戻ってくるはずのなかったもの。捨てたはずの幸せ。ぬくもり。 「……隼人」 そういって笑ったつもりだったのに、何故だか涙がこぼれた。 「……お前を、帰してやれなくて、ゴメン」 自然と、言葉が滑り落ちた。 「俺こそ、お前を解放してやれなくて、ごめんな」 好きだとか。愛してるとか。そんな適当な言葉で、全てが許されるような恋ではないけれど。
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「何だ、もう帰るの? シャマル」 困ったように頭をかくシャマルに、ツナもまた呆れたように笑う。 「ほんとに、いい迷惑だよ。あの二人は、いつまでたっても」 偽の結婚式の後。二人が山本の部屋に消えたというので様子を見にきたが、とても中に入 「そして、シャマルはいつまでたっても、お人よしだ」 もし自分のことでもめてるのなら、誤解でも解いてやるかと思って来たなんて。誰にもいえない 「んで、お前さんは相変わらず意地がわるいな」 最後。花嫁の変わりに獄寺がでることは、ずっと前から決まっていたはずだ。 「さあ、どうだろう」 ボス・ボンゴレは底の見えない笑みを浮かべて、手に持っている花束を扉に立てかけた。 「ま、めでたいんだからいいんじゃない? これから打ち上げするんだけど、シャマルもくるだろ」 さっさと歩きはじめるツナの後ろをおって、シャマルも歩き始める。それから一度だけ振り返って、
とびっきりの馬鹿たちに、最高級の祝福を。 |
ということで、すっごく今さらですが「おまけ」です。
なんか蛇足感がぴりぴりしてますが……。
本当は初夜で「今夜からは少し照れるね」的なエッチが書きたかったんですが、無念!
さて、結婚式もおえたし、次はハネムーンですね!(調子乗りすぎ
何よりここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!