VS
違和感を感じたのは、山本の家をでてすぐだった。 なのに、 目眩かする。頭が頭痛のように重たい。息があがる。体があつい。 さっきまでは何ともなかったというのに、今はたつことすら難しいのだ。 一刻も早く、家へ。その一心で、普段は通らない近道へ進む。街頭のあかりすらない、気味の悪い道だ。昔棲んでいたスラム街を思い出す。 (だめだ……) 目眩が強くなり、たまらず近くの壁にもたれかかる。 「なっ……!」 声をあげようと口を開いたところを、大きな手のひらでおさえつけられる。 「んん! ……ん!」 油断していた。普段ならば力ずくでにげだすが、なにしろ体に力がはいらない。男の指がズボンのジッパーをおろし、おもむろに前の欲望に手をかけた。 「……ぁんっ」 おさえつけられた手のひらの間から声がもれる。 (なんでだよ、俺) 山本以外の人間にさわられて声をあげている自分が信じられない。 男の手が自身を強く弱くしごきあげると、あっけなく獄寺は達ってしまった。 (……い、やだ) 山本でないといやな、はずなのに。 「……や、めっ!」 獄寺の悲鳴を無視して、男は服をまくしあげて背骨をつたうように舌はわせる。それだけで、また達っしてしまいそうだった。 (なんで……、なんでだよ!) いつも以上に敏感になってしまっている体に情けなさを感じながらも、自身は正直に勃ちあがってしまう。 声をおさえようと歯を食い縛ったところで、男の舌が獄寺の後ろの窄まりに到達した。 「ゃ……、ぁあ!」 ちゅぷ、と。わざといやらしい音をたてて男の舌が中をさぐる。何度も繰り返した山本との行為でやわらかくなっていたそこは、いとも簡単に舌を飲み込んでしまった。 「はぁ、あっ、ん! くぅ、あぁ!」 もともと熱を帯びていた体は、その快感に耐えられるはずもなく、もはやあがる声を押さえられない。 「ひぁ、あ、んっ、く……」 中をさぐる舌に便乗して、指が一本入り込んでくる。何度も何度も出し入れをしながら、三本まで入れられてしまった。 「ひぁ、ああ! や、めっ!」 指をクの字にまげ、まるで知っていたかのように、獄寺のいいところを刺激してくる。
たっている力もなくなり、崩れ落ちる体を男が背後から持ち上げる。そして前をむかせ、獄寺の片足を己の肩にかけさせた。 「ひっ、あ……や、め! やめ……ぁ、ろ!」 男の欲望が、獄寺の窄まりにおしつけられる。 「ぁん、あっも……と」
(山本、怒るだろうな) 目をふさがれているのは好都合だった。山本を想像できる。 「ぁあ、んっ、や……っ」 「あっ、んっ、ぁ、ああ!」 小刻みに、何度もうちつけられ理性など飛んでしまいそうで。 「や……もと、や、まもとぉ!」 切なく名前を呼ぶと、 「んっ、ごくでら」 と返ってきた。 (……ちょっとまて) なけなしの力を振り絞って両手をはなして目隠しに手をかける。するとバランスが崩れて落ちてしまいそうになるのを、男があわてて支えた。 「あ……」 やば。と言う声が聞こえた。確かに聞こえた。 「て……めっーー!」 目隠しの闇に慣れた目はすぐに夜の闇にも順応して、見知った人物を映し出す。 「なにしてやがる!」 人がどれだけ……、と叫ぼうとしたら涙がこぼれて、あわてて山本をなぐりつけた。 「わ、ごめん獄寺! ってまだ入ってるから!」 と殴り付けると、山本はあえてよけずに頬にうけて、それからキスをおとす。 「ごめん、それは無理」 言うが早いか、少しも萎えていない自身で再び突き上げた。 「んっ、ち、くしょ……あぁ!」 すぐに獄寺にも、絶頂がやってきた。
「変態」 完璧に足腰たたなくなってしまった獄寺をおぶって、家へと向かう。 「だってせっかく一服もったのに帰るとかいうから」 そんな言葉をきかれてしまっては、もうさしてもらえないかもしれない。山本はあわてて首をふった。 「人が……どんだけ」 不安だったと思ってる。とは言葉にならなかったけれど、確かに山本には聞こえて。 「もうしない」 いって、ぎゅっと一度山本の首を締めあげた。 そして、 (お前だとわかって、むかつくより安心したなんて……) 絶対にいってやるものかとおもった。 |
山本が変態すぎる・・・でも、愛ゆえ!